美味しさと生き生きさ~ハートが開く花茶

こんにちは、中華楼四代目素久の妻、アキです。

 

春がだんだん近づいてきて、大分暖かくなりましたね。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。今年は例年より桜の開花が早かったので、先日家族で花見をしました。日向ぼっこしながら、花見ができてとても気持ちよかった。毎年桜を眺めるのに、どうして飽きずにそのたびに美しいなと思ってしまうのでしょう。春になると桜の命が芽吹く、その生き生きした雰囲気に秘密があるのかもしれません。

 

料理の難しさのひとつに、美味しさと同時に生き生きとした雰囲気をどう込めるのかがあります。料理人は同じ味を作り続けます。それだけでも難しいのですが、それと同時に生き生きとした雰囲気をどの料理にも込めなければなりません。それはただ単に同じ量の材料と同じ量の調味料を、同じタイミングに入れるだけではできません。それはどれほど凄いことかと思います。スタッフの皆さんにいつもおいしいことと、生き生きさがどのように両立するのかを聞きました。

 

すると麺点師の茂木さんが言いました、普通、ひとつの料理を美味しくするというのは、人それぞれ。食べるほうもその日の体調による。作るほうも同じ。作るたびに料理の熱さや香りの立ち方に気を配りながら、そのときその場の最善を尽くすしかない。

 

料理長の岩井さんが言いました、生き生きさというものは料理への信念によって生まれてくるものだと思う。料理人の頭の中に理想的な完成された料理のイメージがあって、それにきちんと合っているかどうか。生き生きさが失われた料理というのは、そのビジョンから何かが欠けているからそうなるんだと思う。

 

副調理の富田さんは、朝のスタートから、仕込みから、一日の作業がスムーズに行くかどうかセッティング次第だと思うと言いました。その流れに乗ると、うまく行っている感じになる。もしかしたら自己満足かもしれないけど、それにうまく乗れているときは、料理の色、味、バランスなんかがうまく行き、おいしい料理ができて、生き生きさも生まれる。そのリズムに乗るために準備のときから完璧にやることが一番だと思う。

 

主人の素久は、どんな種類のお店でも、お客様がご来店いただくときよりも、出て行くときの方が明るい顔をしているように、陽のエネルギーで接するのが一番大事だといいました。中華楼も雰囲気を含めて楽しい陽のエネルギーに満ちた伝統中華を食べていただき、お店を出るときにはお客様がいい笑顔になっていることを常に目指さなければならない。だから毎日続けるというのは、ただ繰り返すルーチンの意味じゃなくて、毎日同じ陽のエネルギーに満ちたいいテンションを持っていることが大切。中華楼にはもう一つ、お客様が気持ちよくお食事をしていただけるように、伝統的な風水で環境を完璧に整えていることも、他のお店にない最高の環境を提供するための工夫。これらの相乗効果が生まれるように、スタッフは気を配るべき。

 

主人の言葉を聞いて、確かにそうだねと思いました。風水という言葉が話に出ましたけど、皆さんご存知のように中華楼の内装も中国の伝統的な正統派風水を取り入れています。気の流れのバランスがとれて、お客様がより落ち着いて、美味しくお食事できるような環境を心がけています。次回はそれについて書くつもりです。

 

ところで、以前人気のあった花茶の販売を4月から再開することにしました。今回の花茶は以前のものよりさらにグレードアップされ、お花を包んだお茶をジャスミン茶で作ってもらいました。ここでご紹介しますね。

 

 

これがパッケージされた状態です。小さいのでハンドバッグやポーチに入ります。

 

 

パッケージから出すと、実はこの花茶、ハートの形をしています。ほらなんかワクワクするでしょう。この花茶にお湯を注ぐと、ハートが開いていくんですよ。

 

できあがりはご自分でやってみてください。パッケージにあるようにお花がふたつ出てきます。うまく開くかどうかで恋占いとかできるかも。はずれはほとんどなしね。必ず開くから。(笑)

 

お湯は絶対沸騰したばかりのアッツアッツを入れて下さい。ぬるいお湯だと開くのに時間がかかります。目に楽しく、鼻に優しく、口においしい花茶をぜひご賞味下さい。

 

 

中華楼 2013年4月のおすすめメニュー

一品


沙津魚片 1500円

白身魚のハタと新じゃがいものマヨネーズ和え

 

花椒鶏腿 1500円

鶏モモ肉の山椒風味ピリ辛炒めサラダ仕立て

 

青菜海螺 1600円

つぶ貝と中国野菜の塩味炒め

 

 

おつまみ

酸辣白蘿蔔 550円

大根の甘酢漬け

 

油淋魚片 650円

キスのさっぱり薬味ソースかけ

 

胡葱叉焼 650円

叉焼とネギとキュウリの醤油味和え

 

 

お食事

金針肉絲麺 900円

豚の細切り肉と金針菜の炒めかけのおそば

 

番茄牛肉炒飯 1000円

トマトと牛肉のあんかけ炒飯

 

中華楼 2013年4月のピックアップ 乾焼蝦仁(ガン シャオ シャレン)

エビのチリソース煮

乾焼蝦仁は、いわゆる「エビのチリソース煮」のことです。

この料理は、もともと四川料理なのですが、そら豆に唐辛子を加えて熟成させた豆板醤を隠し味としてピリ辛感を引き出します。

また、砂糖とともに、もち米に麹(こうじ)を加えてから発酵させた天然甘味調味料の「酒醸(ジュウニャン、甘酒の意)」を使っているので、コクと奥行きが生まれます。

エビ独特の臭みを取り除き、香りだけ残す「片栗粉洗い」という下処理を丁寧にするのが、この料理のポイントです。このような地道な仕込みがあってこそ、おいしい料理が生まれるのです。

ちなみに「乾焼」とは、汁気がなくなるまで煮込んで、スープの旨味を極限まで染み込ませる、という調理法です。

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中華楼自家製麺の秘密

こんにちは。4代目の素久です。

 

今日は前回書き切ることのできなかった、中華楼の歴史を支えてきた麺の秘密について書いていこうと思います。

 

中華楼の麺は自家製麺です。ホームページにも書いていますが、2代目にあたる祖父の勝康がモンゴルのかん水を入手し、小麦粉と水、寝かす時間を研究し、現在使用している麺の基礎を作りました。

 

麺は小麦デンプンとグルテンでできています。グルテンは時間が与えられれば与えられるほど繊維質になっていくんです。その結果、熟成によって麺が縮まってきます。

 

麺は内側と外側の水分のアンバランスでシコッとする。噛んだとき、はじめはやわらかく、芯の部分で少し硬いとシコッと感じる。ところが外側の水分が中まで浸透すると安定した水分になってしまって、歯ごたえに変化がないから麺が伸びちゃった感じがする。だから水分は内と外とでアンバランスのときがおいしいんです。

 

麺には水の量が多い麺と少ない麺があります。小麦には水が一番の調味料ですから、水が多ければ多いほど小麦がおいしさを主張します。だから水の量が多い麺のほうがおいしくなります。でもそういう麺には欠点があって、すぐに伸びてしまうんです。

 

中華楼の麺は出来立てのおいしさを優先させています。だから水の量が多い麺を使っています。麺の水分量のバランスが変わっていくので、中華楼でおそばを注文されたら、すぐに食べ始めてくださいね。

 

ちなみに麺が伸びるということは、周りにある水分と麺の中の水分が安定するということ。つまりは麺の中にスープがしみこむことを言います。

 

通常のスープのおそばだと麺の歯ごたえがなくなってしまうのですが、中華楼のアンカケ焼きそばに関しては、時間が経つと(といっても数時間)、また別のおいしさが出てくるんですよ。もし体感されたいとあれば、ぜひアンカケ焼きそばをお土産でお持ちください。次の日の朝、全く違うおいしさを実感できるはずです。

 

この製法を守り発展させ、添加物を一切入れない現在の自家製麺が存在します。
毎日食べて健康になる、そんな料理の基礎ができあがりました。これからもさらに研鑽を重ね、皆様に喜んで来ていただける中華楼であり続けるよう、がんばります。

千日紅の花茶

こんにちは、初めまして、中華楼四代目素久の妻、アキです。いつも平日のランチタイムにお手伝いさせていただいています。

 

先日のミーティングにも参加させていただきまして、中華楼の喜びなどについて、スタッフの皆さんがリアルな感情でいろいろな意見を交わし、たいへん話が盛り上がりました。中華楼では夜に出すお茶を金木犀(キンモクセイ)のお茶にしています。ジャスミンのお茶より少し高級なんですけど、それがおいしいので飲むのが楽しみという話から、新たな企画が生まれました。それは千日紅という花のお茶を期間限定で発売する企画です。皆さん、千日紅の花茶をご存じですか? 大粒の花茶にお湯を注ぐと、お茶葉がパッと開いて、綺麗なお花の形になるのです。香りも程よく、とても飲みやすく、現地では男女問わず人気あるお茶の一つです。興味のある方はぜひお試しください。

 

お茶と言えば、実は私は中国福建省出身で、そこはお茶の産地としても有名です。主人の素久も何度か訪れたことがあって、お茶にすごく興味を持つことになりました。日頃から、ふたりで中国茶を飲んでいます。国際結婚のため、実家でも結婚式をあげたので、主人の親族のみなさんも駆けつけてくれました。滞在中に、みんなで一日だけ安渓(アンシー)という町を訪れ、お茶摘み体験をしました。安渓は福建省の南に位置し、母の実家でもあります。町自体は山々に囲まれ、空気は澄んで、気持ちがいい場所です。町の中心から車を走らせて30分、目に入るのは棚田や段々畑のように広がるお茶畑です。親戚の紹介で特別にお茶畑へ案内してもらい、お茶の制作工房も見学できました。摘みたてのお茶の葉がいくつもの工程を経て、ようやく人々に口に運ばれます。あの丁寧な作業を見たからでしょうか、お茶を飲む度にとても美味しく感じます。

 

千日紅の花茶販売については、詳細が決まりましたらここで紹介させていただきます。目に美しく、香りも典雅で、味も素晴らしいので、ぜひ一度飲んでみてください。きっと私たちのように大好きになると思います。

伝統をつなぐ製麺技術

こんにちは。中華楼の四代目、素久です。

 

先日におこなったミーティングでは、このホームページを使って、どのように口福から至福へと向かう中華楼にしていくかがポイントになりましたけど、今月以降それを続けることにしました。
なのでスタッフのみなさんに、今月の嬉しかったことや楽しかったことを聞きました。

 

はじめはみんな黙っていたのですが、麺点師の茂木さんが言いました。「あれを言おうか、これを言おうか、たくさんあるんだけど、まとまらない」。するとポツリポツリと話が出てきました。

 

三代目が言いました。「中華楼には創業以来、お客様満足度という考え方がある。いつお越しいただいても120%満足をしていただかなければいけない。普通のお店はだいたい100%を目指す。でもそれではいけないんだ。いつでもお客様が思っている以上の満足をして頂けるようにしないといけない。120%、150%に持っていかないといけない。中華楼がおよそ100年続いてきているというのは、ずっとそれを守り通してこれた証拠だと思う。いつでも120を目指すためには、やっぱり日々の努力は絶対だよね。こんな話をしたときにスタッフがみんなそうだなって思って、がんばるぞっていう一体感が生まれたときに、よしっていうかさ、なんかこう嬉しいよね」

 

店長の久保田さんは言いました。「やっぱり、お食事中やお帰りの時に、ありがとうとか、おいしかったとか言って下さるとすごくうれしい。声が聞こえなくても表情や雰囲気で満足して頂いたことがわかると本当にうれしいですね」

 

料理長の岩井さんが言いました。「うちは麺が自家製麺で、そのことがお客様に伝わると驚いてくれるんです。今は麺点師の茂木さんが製麺しているんですけど、先月から製麺の技術を教えてもらっているんです。中華楼伝統の製麺は本当に難しいです。伝統の継承のむずかしさがわかりました」

 

岩井さんの言葉に、製麺技術の伝統が中華楼の歴史をつないでいるんだと改めて思いました。中華楼の麺の秘密はとても簡単に記せないので、次回に詳しく書きたいと思います。

中華楼 2013年3月のおすすめメニュー

一品

雪菜墨魚 1400円

イカと高菜のピリ辛塩味炒め

 

 

紅焼珍鮑 1500円

チリアワビと細タケノコの広東風煮込み

 

 

醤爆牛肉 1600円

牛肉となすの中国味噌炒め

 

 

おつまみ

泡辣?菜 500円

山クラゲのピリ辛甘酢漬け

 

 

椒塩炸肉絲 550円

細切り豚肉の唐揚げ(椒塩かけ)

 

 

豆苗鶏絲 600円

鶏肉とトウミョウの塩味和え

 

 

お食事

鉄鍋海鮮炒麺 1000円

脱皮エビ・貝柱・蟹肉入り新海鮮焼き麺 鉄鍋仕立て

 

 

肉末炒飯 1000円

牛挽肉のピリ辛炒めのせ炒飯

 

中華楼 2013年3月のピックアップ 木須肉(ムースーロー)

豚肉とキクラゲ & 玉子の塩味炒め

 

この料理名を見て、「玉子とキクラゲと豚肉の炒めもの」と想像できる人は、少ないのではないでしょうか。「木須」は中国語でムースーと読みます。本来、キンモクセイを意味する「木犀(ムースー)」を使うべきなのですが、字が書きにくいことから同じ発音の「木須」に書き換えられ、これが一般化したのです。

 

金木犀(キンモクセイ)という花は、黄色みがかったオレンジ色。ですから「木須」は、かき卵の色が黄色で美しいことを表現しています。玉子炒めの色彩が金木犀の花の色を彷彿とさせることから、キンモクセイのような玉子料理→木犀肉となったわけです。

 

本格中国料理店の木須肉では、乾燥ユリの花びら(金針葉)と、アクセントとしてキクラゲ(木耳=ムーアール)を使用することが基本です。

 

強火で一気にフワッと炒め込む、職人の技が問われる料理として知られています。

 

 

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中華楼の喜びとはいったいなにか?

こんにちは。中華楼の四代目、素久です。前の原稿の続きです。

 

「口福から至福へ」を表現するために、みんなで中華楼にある喜びについて考えてみました。なぜ喜びについて考えるのかというと、お客様に伝えるべきことが何かを考えたとき、それは中華楼のいいところだろうということになり、中華楼のいいところというのをそのまま伝えても何か宣伝臭があるので、僕たちのリアルな感情でいいところを伝えるためにはどうしたらいいのかを考えました。その結果、僕たちひとり一人が感じる喜びは何かを表現していこうと思い至りました。中華楼の美点とか、いいところを言おうとすると、どうしてもコマーシャル的な雰囲気が抜けませんけど「中華楼で感じる喜びは何か?」と問われると、宣伝のコピーというよりは、どこか素の感覚や感情が出てくるような気がするのです。そこで僕たちの喜びは何かを考えました。

 

料理長の岩井さんが言いました。
「いい宴会がおこなわれていると嬉しいよね。本当に盛り上がっている宴会って厨房にいてもその熱気のようなモノが伝わってくるものだから。そして下がってくるお皿を見れば料理を喜んでもらっているかどうかがはっきりわかる。そういう宴会がおこなわれたとき嬉しいね」

 

副調理の富田さんは「一生懸命考えた季節の料理が評判だと嬉しいです」と答えました。

 

麺点師の茂木さんが言いました。
「チーフが言ったように、ホールから『おいしい』とか聞こえてくるとやはりうれしい。そういう声がもっと上がるようにしていきたい。お客様に喜んでもらえることが一番うれしいことだから、いろんな工夫を重ねてもっと喜んで帰ってもらいたい」

 

店長の久保田さんはこう言いました。
「このお店は駅から少し遠いので、それでもわざわざ来てくれるお客様は本当においしいと思ってくださる皆さん。だからお客様の層としてはリピーターが多い。そういう立地的なハンデを背負いながらもわざわざ来てくださるお客様を大切にしたい。だからテーブルに懐かしい顔を見つけるととても嬉しい。ああ、また来てくださったんだなと。だからおなじみさんの好みは憶えてしまう。そうやって次に来たときにそのかたの好みを厨房に伝えて、できた料理を喜んでいただけるとそこにやりがいを感じる」

 

ホール主任の斉籐さんはこんなことを言いました。
「最年少でまだまだ経験が足りないのが心配です。でも、心がけているのは5つのS。Speed、Smart、Smile、Sensitive、そしてSuccess。とにかく速い動作、そして理知的であること、お客様へはスマイル、あらゆる動作とお客様へのサービスは繊細にすること。それらを続けることで最後にはうまくいったという感覚が残り、実際に繁盛すること。だからお客さんがたくさん入っていると嬉しいですね」

 

こうして質問することでスタッフの思いがどんなものかがわかりました。表情を見ればなんとなくはわかることかもしれないけど、言葉にしてもらうことでそれが確認できてよかったと思います。女房のアキも店内のお手伝いをしてくれているのでひとこと言いました。
「口福から至福へという言葉は、お客様のためだけではなく、私たちお店を運営する側のための言葉でもありますね。スタッフとひとつの輪になって至福なサービスを提供することで、私たち自身も幸せになり、ここに集う人みんなが至福にいたるといいですね」

 

アキの言葉に「もっとも」と思ったけど、それは僕が言いたかったな。

中華楼 2013年2月のおすすめメニュー

一品

熱鍋羊肉 1300円

香辛料漬け羊肉とニンニク、葱、クワイの焼鍋仕立て(ニンニク不使用可)

 

 

鍋巴明蝦 1500円

脱皮蝦と鍋巴(おこげ)の塩味ピリ辛炒め

 

山茹青蟹 1400円

木の子と渡り蟹の沙茶醤炒め

 

 

おつまみ

酸辣白菜 500円

白菜の甘辛酢風味

 

 

豆板醤牛蒡 550円

ごぼうとニラの豆板醤炒め

 

 

 

沙茶醤角豆鶏 600円

蒸し鶏とインゲンとトマトの沙茶醤和え

 

 

飯・麺

XO醤炒飯 1000円

鮭とレタスのXO醤炒飯

 

白淡湯麺 900円

ほぐし貝柱入り卵白と菜の花と白菜のあんかけおそば