中華楼 2013年3月のピックアップ 木須肉(ムースーロー)

豚肉とキクラゲ & 玉子の塩味炒め

 

この料理名を見て、「玉子とキクラゲと豚肉の炒めもの」と想像できる人は、少ないのではないでしょうか。「木須」は中国語でムースーと読みます。本来、キンモクセイを意味する「木犀(ムースー)」を使うべきなのですが、字が書きにくいことから同じ発音の「木須」に書き換えられ、これが一般化したのです。

 

金木犀(キンモクセイ)という花は、黄色みがかったオレンジ色。ですから「木須」は、かき卵の色が黄色で美しいことを表現しています。玉子炒めの色彩が金木犀の花の色を彷彿とさせることから、キンモクセイのような玉子料理→木犀肉となったわけです。

 

本格中国料理店の木須肉では、乾燥ユリの花びら(金針葉)と、アクセントとしてキクラゲ(木耳=ムーアール)を使用することが基本です。

 

強火で一気にフワッと炒め込む、職人の技が問われる料理として知られています。

 

 

塚田眞弘著 『至福の中華』 コスモトゥーワン刊より 風水改運中心 amazon

中華楼の喜びとはいったいなにか?

こんにちは。中華楼の四代目、素久です。前の原稿の続きです。

 

「口福から至福へ」を表現するために、みんなで中華楼にある喜びについて考えてみました。なぜ喜びについて考えるのかというと、お客様に伝えるべきことが何かを考えたとき、それは中華楼のいいところだろうということになり、中華楼のいいところというのをそのまま伝えても何か宣伝臭があるので、僕たちのリアルな感情でいいところを伝えるためにはどうしたらいいのかを考えました。その結果、僕たちひとり一人が感じる喜びは何かを表現していこうと思い至りました。中華楼の美点とか、いいところを言おうとすると、どうしてもコマーシャル的な雰囲気が抜けませんけど「中華楼で感じる喜びは何か?」と問われると、宣伝のコピーというよりは、どこか素の感覚や感情が出てくるような気がするのです。そこで僕たちの喜びは何かを考えました。

 

料理長の岩井さんが言いました。
「いい宴会がおこなわれていると嬉しいよね。本当に盛り上がっている宴会って厨房にいてもその熱気のようなモノが伝わってくるものだから。そして下がってくるお皿を見れば料理を喜んでもらっているかどうかがはっきりわかる。そういう宴会がおこなわれたとき嬉しいね」

 

副調理の富田さんは「一生懸命考えた季節の料理が評判だと嬉しいです」と答えました。

 

麺点師の茂木さんが言いました。
「チーフが言ったように、ホールから『おいしい』とか聞こえてくるとやはりうれしい。そういう声がもっと上がるようにしていきたい。お客様に喜んでもらえることが一番うれしいことだから、いろんな工夫を重ねてもっと喜んで帰ってもらいたい」

 

店長の久保田さんはこう言いました。
「このお店は駅から少し遠いので、それでもわざわざ来てくれるお客様は本当においしいと思ってくださる皆さん。だからお客様の層としてはリピーターが多い。そういう立地的なハンデを背負いながらもわざわざ来てくださるお客様を大切にしたい。だからテーブルに懐かしい顔を見つけるととても嬉しい。ああ、また来てくださったんだなと。だからおなじみさんの好みは憶えてしまう。そうやって次に来たときにそのかたの好みを厨房に伝えて、できた料理を喜んでいただけるとそこにやりがいを感じる」

 

ホール主任の斉籐さんはこんなことを言いました。
「最年少でまだまだ経験が足りないのが心配です。でも、心がけているのは5つのS。Speed、Smart、Smile、Sensitive、そしてSuccess。とにかく速い動作、そして理知的であること、お客様へはスマイル、あらゆる動作とお客様へのサービスは繊細にすること。それらを続けることで最後にはうまくいったという感覚が残り、実際に繁盛すること。だからお客さんがたくさん入っていると嬉しいですね」

 

こうして質問することでスタッフの思いがどんなものかがわかりました。表情を見ればなんとなくはわかることかもしれないけど、言葉にしてもらうことでそれが確認できてよかったと思います。女房のアキも店内のお手伝いをしてくれているのでひとこと言いました。
「口福から至福へという言葉は、お客様のためだけではなく、私たちお店を運営する側のための言葉でもありますね。スタッフとひとつの輪になって至福なサービスを提供することで、私たち自身も幸せになり、ここに集う人みんなが至福にいたるといいですね」

 

アキの言葉に「もっとも」と思ったけど、それは僕が言いたかったな。

中華楼 2013年2月のおすすめメニュー

一品

熱鍋羊肉 1300円

香辛料漬け羊肉とニンニク、葱、クワイの焼鍋仕立て(ニンニク不使用可)

 

 

鍋巴明蝦 1500円

脱皮蝦と鍋巴(おこげ)の塩味ピリ辛炒め

 

山茹青蟹 1400円

木の子と渡り蟹の沙茶醤炒め

 

 

おつまみ

酸辣白菜 500円

白菜の甘辛酢風味

 

 

豆板醤牛蒡 550円

ごぼうとニラの豆板醤炒め

 

 

 

沙茶醤角豆鶏 600円

蒸し鶏とインゲンとトマトの沙茶醤和え

 

 

飯・麺

XO醤炒飯 1000円

鮭とレタスのXO醤炒飯

 

白淡湯麺 900円

ほぐし貝柱入り卵白と菜の花と白菜のあんかけおそば

 

 

スタッフからの意見など

こんにちは。中華楼の四代目、素久です。

  

先日おこなったミーティングは、前にも三代目が書いたとおり、なかなか話が弾みませんでした。ホームページで何を表現したいのか? 何を表現していくべきなのか? そんなことを聞かれても誰も急には答えられません。だけど三代目の檄で火がつきました。

  

「飲食店の五年間生存率は5%に満たない。つまり、たいていの飲食店は五年で潰れる。なぜそうなのか? 飲食店には波がある。いいときもあれば悪いときもある。それはどんな時代でもあったはず。波風に負けずに90年以上中華楼が続いてきたのは、それを跳ね返すパワーがあったから。そのパワーの源泉は、そのときどきで働いていてくれたスタッフに根性があったからとしかいいようがない。本当に駄目なときに何ができるのか? それをその時代時代で言い合い、協力してきたはず。ここにいるみんなは、僕も含めて、中華楼の歴史の登場人物でしかない。その視点を持って欲しい。いままで100年近く続いてきたことに思いを馳せ、この先もこの伝統が続くためにいま私ができることはなにか? そんなことを考えることで後世にいいものをつなげていく。そう考える人が残ることで歴史がつながる。僕もそのパートを演じている。みんなもそう。それをいまどう表現するのか、それを考えていきましょう」

  

するとスタッフから意見が出るようになりました。まず最初に口を開いたくれたのが富田さんでした。富田さんは副調理です。

  

「毎月のおすすめメニューをホームページで流したらどうでしょうか? もしかしたら、来月のおすすめメニューも流したらいいかもしれません」

  

三代目は「それはいいね」と答え、そののちに「過去に人気があったメニューも紹介できたらいいかな」と言いました。

  

すると料理長の岩井さんがこう言いました。

  

「口福から至福へという言葉の意味をよく考えたい。僕たち職人が至福に至ってしまっては何か違うような気がする。職人は常に現状に甘んじることなく、次のステップを探して挑戦していくもの。そういう意味で僕は、至福に至る途中であることを表現していきたい。いつも今出すものがベストではあるけれど、それが最終地点ではないということ。次にお客様が来てくださったら、次の展開がきっとあるということ。急になんでもかんでも変えられるほど甘い仕事はしてないので、変えられる部分はわずかかもしれないが、足元をよく確認して着実に歩を進めていきたい」

  

確かにそうだなと思いました。でも、それってどう表現すればいいのか、そこがわかりませんでした。

  

富田さんが言いました。

  

「月ごとの季節の料理で、いろいろと冒険してみろと料理長からは言われるんですけど、僕の作るメニューはまだまだ当たり外れがあります。すごく注文されるものと、あまり注文されないものがある。そういうことをやりながら勉強していることを伝えられたらいいのかな?」

  

でも、ホームページであまり注文されない料理のことを書くというのはよくないのではないかと思います。それから、よく考えなければならないのは、注文されるされないと、おいしいかどうかは、かならずしも一致しないと言うことです。どんなにおいしい料理でも名前が悪いと注文されなかったりします。とすると、変えるべきは料理ではなく、名前のほうだったりもするのです。そこでいろんなやりとりのあとで、中華楼にある喜びを伝えていったらいいんじゃないかと考えました。

  

この続きは、また次回書きます。

ホームページ開設と当店モットー「口福から至福へ」について

中華楼の四代目である素久です。はじめまして。

 

昨年末に父である三代目から急にホームページを作り直すと言われ、中華楼のモットーを「口福から至福へ」にすると告げられて、ことの展開の速さに驚きました。ところがうちの女房のアキがそれを聞き、「いいじゃない」と言うのです。「中華楼はただ美味しいだけの店じゃないことを多くの人にわかってもらいましょう」と言うのです。「うん」としか言いようがありませんでした。f(^-^;)

 

落ち着いて考えると確かに「口福から至福へ」というモットーは素晴らしいものです。以前から「中華楼を高級店にしないのは、毎日からだにいいものを食べない限り健康にはなれないからだ」と何度も聞かされました。高級薬膳料理店があまり流行らないのはその効果がよくわからないからです。高い料理はなかなか毎日は口にできません。お客様が健康になるようなものを毎日僕たち自身が食べ続け、信頼していただいて、安心して食べていただけるような店にする、それが中華楼の至上命令でした。そのことをきちんと表現しているように思いました。だけど三代目の話によると、ただそれだけでもありません。

 

三代目はときどき驚くようなひらめきを得ることがあるようです。風水のお店を始めるとき、当時は家族がみんな心配したそうですが、いまとなっては正解だったことがよくわかります。

 

ホームページの案が固まっていくにしたがい、たくさんの納得が生まれました。それは先日のスタッフミーティングのときです。三代目がいろいろと説明したのですが、スタッフにはなかなかわかってもらえません。だけどしばらくすると、それぞれがいままでの中華楼に対する思いを話してくれて、「それを伝える道具がホームペーなんだ」とわかってもらえました。そうなんです。何か新しいことをするのではなく、スタッフひとり一人の胸の内にあり、いままであまり言葉にしてこなかったことを、このホームページを使って伝えていけばいいんだとわかってもらえましたし、僕自身そのことが目の前で展開したためによくわかりました。

 

僕たちのホームページの取り組みはまだ始まったばかりです。これからまたどんなことが起きてくるのかよくわかりませんが、きっと僕たちにとって、お客様とつながるために何か大切なことのきっかけが、ここから生まれるような気がします。

 

本当は今回スタッフの意見などをまとめて書くつもりでしたけど、長くなってしまったので、次回そのことについて書くことを約束してキーボードをしまいたいと思います。長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

なぜ新しくホームページを開設したのか

先日、ホーページ開設のためのスタッフミーティングをおこないました。いままであまりネットとは付き合いのなかったスタッフにいろいろと意見を聞こうと思ったのですが、話のはずまないことにびっくりいたしました。

 

しかし、大正から続く当店が、現代の荒波を乗り越えていくために必要なことであることを理解してもってからは、ポツリポツリと意見が出るようになりました。

 

なぜ私たちのモットーを「口福から至福へ」としたのか、その話をし、それをモットーとするならいままでの伝統に支えられてきた私たちがこの時代に何をしなければならないのか、スタッフなりに考え始めています。そのことについて次回のこの記事から四代目の素久にレポートしてもらい、中華楼の内側ではどんなことが起きているのかをみなさんに知っていただこうと思います。

 

現代の波に乗ったうえで中華楼らしさとは何かを、ここに少しずつ開示できたらと思います。

 

東西ドイツの壁が崩れたとき、それは誰かが無理矢理こじ開けたのではなく、自然と崩れていったと言うことを聞きました。時代は次第に隠蔽されていたものが開き、知られていなかったことが知られていくようになってきています。中華楼も伝統の味を、硬い壁で囲うのではなく、多くの皆さんに立体的に感じ、味わっていただけるよう、このホームページを利用して少しずつ開いていこうと思います。どこまでのことができるのか、今はまだわかりませんが、いままでの伝統とのバランスを考えながら、皆様に愛される中華楼であり続けるため努力していきますので、ご声援のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

 

ホームページを開設いたします

いつもご愛顧いただいている皆様、お引き立ていただきありがとうございます。浅草橋の中華楼にはいらしたことがなく、このページではじめて中華楼をご存じになる皆様、はじめまして。中華楼三代目の塚田眞弘です。以後、よろしくお願いいたします。
 
このホームページは2012年末に企画を始め、今日やっとオープンすることができました。企画立案制作に関わって下さった皆さん、ありがとうございました。
 
昨今はインターネットが世界を動かしていると言っても過言ではありません。私は中華料理の研究などのため、月の半分は中国にいるのですが、中国もどんどんネット化され、中国国内ではtwitterが使えないのですが、その代わりにできた微博(ウェイボー)がものすごい勢いを持って政治すらも変えてしまいそうです。数日前には安倍首相がfacebookのページを開設し、「ぶら下がり取材の代わりにfacebookを使う」と言ったとか言わないとか。とにかくこの10年ほどの変化はすさまじいものがあります。
 
私たち中華楼も、すでにホームページは持っていたのですが、ここに新しく作り直しました。
 
世界がネットを軸にして動いている状況を鑑み、ネットとの共存をどのように考えるべきかを考えるため、まずはきちんと取り組み、中華楼らしいネットとの付き合い方を作り出していくべきだと思い至りました。
 
これから本格的な付き合いを始めるところですから、まだ何をどうすればいいのか、はっきりとはわかってないのですが、このページを使って、当店のモットーである「口福から至福へ」をより体現していくよう、考えることを考え、改めるところを改め、取り組んでいきたいと思っています。
 
いままでまったくネットとは付き合いのなかったスタッフ達も、少しずつこれを利用できるようになるよう考えていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
これは中華楼入口にある贔屓です。中国の伝説で龍の長男と言われています。
 
贔屓ちゃん

中国の伝説で龍の長男と言われている贔屓。

中華楼 2013年2月のピックアップ 油淋鶏腿(ヨウ リン ヂィ トェイ) 

ひな鶏の腿肉唐揚げ 焼葱ソース掛け

 

あっさりとしていて美味しい味付けの正体は、醤油・砂糖・酢・ゴマ油・葱・生姜で作った甘酸っぱい「焼き葱ソース」です。

 

日本の中華料理店では、いつしか、このソースのことを「油淋ソース」と言い始めてしまい、業界が混迷しています。実はこのソースが「油淋」なのではなく、調理法が「油淋」なのです。

 

カラッと揚がった鶏肉のタレがほどよく調和し、一口噛めばパリッとした皮の歯ごたえで、ソースがよく絡み口の中に美味しさがジュワッと広がります。

 

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