スタッフからの意見など

こんにちは。中華楼の四代目、素久です。

  

先日おこなったミーティングは、前にも三代目が書いたとおり、なかなか話が弾みませんでした。ホームページで何を表現したいのか? 何を表現していくべきなのか? そんなことを聞かれても誰も急には答えられません。だけど三代目の檄で火がつきました。

  

「飲食店の五年間生存率は5%に満たない。つまり、たいていの飲食店は五年で潰れる。なぜそうなのか? 飲食店には波がある。いいときもあれば悪いときもある。それはどんな時代でもあったはず。波風に負けずに90年以上中華楼が続いてきたのは、それを跳ね返すパワーがあったから。そのパワーの源泉は、そのときどきで働いていてくれたスタッフに根性があったからとしかいいようがない。本当に駄目なときに何ができるのか? それをその時代時代で言い合い、協力してきたはず。ここにいるみんなは、僕も含めて、中華楼の歴史の登場人物でしかない。その視点を持って欲しい。いままで100年近く続いてきたことに思いを馳せ、この先もこの伝統が続くためにいま私ができることはなにか? そんなことを考えることで後世にいいものをつなげていく。そう考える人が残ることで歴史がつながる。僕もそのパートを演じている。みんなもそう。それをいまどう表現するのか、それを考えていきましょう」

  

するとスタッフから意見が出るようになりました。まず最初に口を開いたくれたのが富田さんでした。富田さんは副調理です。

  

「毎月のおすすめメニューをホームページで流したらどうでしょうか? もしかしたら、来月のおすすめメニューも流したらいいかもしれません」

  

三代目は「それはいいね」と答え、そののちに「過去に人気があったメニューも紹介できたらいいかな」と言いました。

  

すると料理長の岩井さんがこう言いました。

  

「口福から至福へという言葉の意味をよく考えたい。僕たち職人が至福に至ってしまっては何か違うような気がする。職人は常に現状に甘んじることなく、次のステップを探して挑戦していくもの。そういう意味で僕は、至福に至る途中であることを表現していきたい。いつも今出すものがベストではあるけれど、それが最終地点ではないということ。次にお客様が来てくださったら、次の展開がきっとあるということ。急になんでもかんでも変えられるほど甘い仕事はしてないので、変えられる部分はわずかかもしれないが、足元をよく確認して着実に歩を進めていきたい」

  

確かにそうだなと思いました。でも、それってどう表現すればいいのか、そこがわかりませんでした。

  

富田さんが言いました。

  

「月ごとの季節の料理で、いろいろと冒険してみろと料理長からは言われるんですけど、僕の作るメニューはまだまだ当たり外れがあります。すごく注文されるものと、あまり注文されないものがある。そういうことをやりながら勉強していることを伝えられたらいいのかな?」

  

でも、ホームページであまり注文されない料理のことを書くというのはよくないのではないかと思います。それから、よく考えなければならないのは、注文されるされないと、おいしいかどうかは、かならずしも一致しないと言うことです。どんなにおいしい料理でも名前が悪いと注文されなかったりします。とすると、変えるべきは料理ではなく、名前のほうだったりもするのです。そこでいろんなやりとりのあとで、中華楼にある喜びを伝えていったらいいんじゃないかと考えました。

  

この続きは、また次回書きます。